新制度になった情報処理技術者試験と、自分の勉強法について
今年、自分は春の試験で情報セキュリティスペシャリストに、秋の試験でネットワークスペシャリスト試験に合格しました。
- 情報セキュリティスペシャリスト
午前Ⅰ:85.00%
午前Ⅱ:84.00%
午後Ⅰ:91点
午後Ⅱ:91点 - ネットワークスペシャリスト
午前Ⅰ:免除
午前Ⅱ:84.00%
午後Ⅰ:90点
午後Ⅱ:82点
その時の試験への取り組みについて、また、新制度になる前から受け続けていた(申し込み続けていた?)経験から、「受けてみた感じ」の感想を会社のメンバーに共有したのですが、ここに改めて整理し、それを載せておきたいと思いまとめました。
まず、IPA の秋期の結果についての次のプレスリリースをご紹介します。
平成21年度秋期情報処理技術者試験(応用情報技術者試験及び高度試験)の合格発表について
~ 全ての高度試験区分で過去最高の合格率 ~
http://www.ipa.go.jp/about/press/20091221.html
また、春期の試験についても同様のプレスリリースが出ており、今年行われたすべての試験において、合格率が過去最高になっているそうです。
「平成21年度春期情報処理技術者試験」(応用情報技術者試験及び高度試験)の合格発表について
http://www.jitec.ipa.go.jp/1_00topic/topic_20090630_goukaku.html
以下の内容は次のとおりです。
- 旧制度との差から感じること
- 勉強方法と解答方法(午後問題)
- おわりに
■ 1. 旧制度との差から感じること
まず、自分が感じる旧制度の試験との差は次の点です。
- 高度試験の午前試験が午前Ⅰ(共通)、午前Ⅱ(試験分野専門)と分離された
- 高度試験の午前試験の免除が午前Ⅰのみとなった。その免除条件が緩和されている
- 合否判定が相対評価から絶対評価に変わった
- 高度試験では解答が必要な問題数が減り、試験時間に余裕ができた
1. については、従来どおりのマークシート・四肢択一方式は変わりませんが、旧制度では試験区分によってばらつきがあったものが、新制度では午前Ⅰが 30問/50分、午前Ⅱが 25問/40分と統一されました。午前Ⅰが全高度試験共通の問題、午前Ⅱが試験区分における専門知識を問う問題になっています。
午前Ⅰが合格していなければ午前Ⅱは採点されないため、今までのように午前Ⅰにあたる幅広い(あやふやな?)知識を午前Ⅱにあたる試験区分の得意分野で挽回する、ということができなくなっています。
2. については、旧制度はソフトウェア開発技術者もしくは高度試験に合格した場合のみ、向こう2年間の午前試験の免除が行われていました。新制度では高度試験を万一合格できなくても、午前Ⅰで 60 %の得点を獲得していたならば向こう2年間の午前Ⅰ試験は免除されます。
万一不合格でも足踏みではない、ということです。
3.、4. が新制度での大きな違いだと思っています。
3. については、旧制度では不透明であった合否基準が明確になりました。
旧制度では採点者の確保という問題から、受験者全体の*%を、もしくは*名程度を午前試験、午後Ⅰ試験で合格にするという方式を取っていたそうです。そのため、午前試験・午後Ⅰ試験の平均点が高かった場合も最終の午後Ⅱ試験に進める受験者が一定に抑えられ、結果的に合格者が低い割合で安定する、ということになっていました。
新試験ではこれが改められ、60 %以上の正答率で合格、と基準が明確な絶対評価になりました。個人的には 60 %以上という基準が甘めである感じがし、その分資格自体の価値が下がらないかという心配もありますが、やはりそれだけ合格しやすくなったことは確かです。
4. が個人的には一番大きかったです。
本来、試験はすべての問題に正対して、問題と戦って勝ち/負けを決めるものだと思っていました。しかし、旧制度では「いかに早く解くか」も能力の一つに設定されており、ネットワークやプロジェクトマネージャなどでは、試験時間に比べてかなり多くの問題が出題されていました。
新制度ではこれが改められ、大問の出題数、解答数がそれぞれ1問ずつ程度減り、かつ試験時間はそのまま(午後Ⅰ試験は 90 分、午後Ⅱ試験は 120 分)となり、格段に「すべての問題に目を通しやすくなった」と言えます。
なんだか IPA が受験者に好意的になったようにも思えますが、全体の問題数が減ったのはなにも受験者のためではなく、問題を作成する負担を減らしただけだとも言われています。
結果、その分野や出題された問題について理解ができていれば高得点が獲れ、そうでない場合は 60 点に届かない、という結果になるように思います。
■ 2. 勉強方法と解答方法(午後問題)
今まで自分の中で課題だった午後試験の勉強方法と解答方法について書きます。
- 勉強方法
問題集を買ってきて解くというよりはやや分厚い教科書的なものをじっくり読む、という方法を取りました。
どなたも、受験する試験区分の技術や知識に興味があると思うので、その参考書を参考書と思わずに「雑学本」程度の気楽さで読めると良いのではないかと思います。
自分は自宅でこの本を読むことはほとんどなく、もっぱら出勤、退社の電車の中で(1時間弱ずつくらい?)読んでいました。情報セキュリティスペシャリストの本(ある通称「辞書的上原さん本」(ラックの上原さんが執筆))では過去問題を除いても 600 ページ近くありますが、一日 20 ページ程度読めればふた月もあれば読破することはできます。
ポイントは、一日 20 ページと決めたからといって無理に先に進もうとしないことと、各セクションの確認問題はちゃんと頭の中で言葉にして解答してから先に進むこと、でしょうか。できれば本の後半についている予想問題や過去問題もしっかり解きたいのですが、自分はほとんど解きませんでした。これは、自分の勉強部屋が電車の中であり、そこで記述式の問題を時間を決めて解くのは非常に困難である、ということからです(たぶん)。
しかし、自分は春の情報セキュリティスペシャリスト、秋のネットワークスペシャリストとも、午後の問題も満足のいく得点が獲れています。
自分の実感としては、- るおおまかな内容を心から理解すること
- 解答する問題を間違えないこと
- 「*字以内で答えよ」に対する解答のコツをつかむこと
の3つさえできれば、自信がなく試験ではとても苦戦するとしても意外と得点になる、というものです。
問題集では「EXAM PRESS 情報処理教科書」というシリーズが評判が良いようです。
- 解答方法「*字以内で答えよ」
手元のプロジェクトマネージャ(H20秋試験で落ちた)の教科書(情報処理教科書 プロジェクトマネージャ 2008年度版 三好 康之)には文字数の意味と解答方法について次のようにあります。
- 10字以内
キーワードで答えよ。単語で解答 - 20字以内
簡潔に短文で答えよ。「形容詞+単語」、「主語+述語」など2文節で解答 - 30字以内
それなりの文章で答えよ。「主語+目的語+述語」など3文節で解答 - 40字以内
それなりの文章で答えよ。「5W1Hの中のいくつかの要素を加える」など4文節で解答 - 50字以上
複数の文を使うなどして詳細に答えよ。「25字+25字」、「30字+20字」などで解答
しかし、自分はこのようなことは気にしていませんし、できるくらいのトレーニングを積んでもいませんし、そもそも、解答パターンを覚えてもいません。
また、文字数によらないテクニックとして
- 問題文に出てくる単語を利用する
- キーワードを入れる
- 語尾で調節する
- 原則8割以上の文字数を埋める(30字ならば24字以上)
- とにかく全問解答する
ともありますが、こちらの方が役に立っているかもしれません。
また、こちらにも解答文字数についてありますが、問われていることが分からない場合を除き、常に少なめに少なめに
常に簡潔に簡潔に解答していても6~8割くらいは埋まりますのでこれで問題はないと思います。
また、その問題について「心から」理解していれば「ここで問われているのは何か」ということは分かると思います。それが分かる場合はその問題のキーワードが分かっているはずです。それを何とか解答に入れ込みます。
そして、これが自分が一番意識していることなのですが、
「なぜN君はそのような対策を採ったのか、理由を30字以内で答えよ」
というような問題に対しての解答は、問題に書かれている内容からすぐに見える現象
にとどめるべき、ということです。
自分は、問題を読んでいると、そのことがあまりに当たり前すぎて、だからどういうことが考えられ、そのためにどのような対策の必要があり……、と考えてしまいがちでした。
しかし、過去問題の解答例をみると、とても単純なものが多いと思います。社内から社内あてのメールのログが残っていないから
通信相手でないサーバからのパケットを受信したから
……通信相手でないサーバからのパケットを受信した、ということはそもそも~だからで、その解決のためには~しなければいけないから、などと書いたらとても収まりません。
簡潔に簡潔に、が大事だと思います。
- 10字以内
■ 3. おわりに
ご拝読ありがとうございます。
資格を取るために勉強するのは面倒ですし、自分を律する必要もあります。それができないと自己嫌悪に陥ったりしますし、計画通りにいかないと途中でやめたくなります。
試験のために勉強しても、試験後もその知識が残るのか疑問がありますし、そもそも、試験は日曜に行われ、休日がつぶれる上に試験自体非常に消耗します。
体調を壊していたりすると翌日の仕事にも影響してしまいます。
これほどの苦労をしても、例えば会社が出してくれる資格奨励金もそれほど高くはないかもしれません。
更に、新制度で合格率が高くなっているため、情報処理技術者試験への世間一般の価値感が下がるのではないかという不安さえあります。
正直、外面にはあまりいいことはないかもしれません。
外に通用する資格を取る、ということによって自分が得られたのは、逆説的に自分自身への自信と責任感だけかもしれません。
例えば、ネットワークの勉強をしていればインフラ関連の会話ができるようになりますし、そのインフラ担当者がどのくらいのレベルの知識を持っているのかも分かってきます。
その人がどのような知識を持っているのか、どのくらいすごいのか、それが分かっていると、今まで以上にその人の言葉に集中することができますし、その人から多くを学ぶことができるのではないでしょうか。
また、自分のプロジェクトに対する貢献の幅を広げることにもつながります。
メンバーが持っていない知識を自分が補完することによって、また、プロジェクト内のある知識の厚みを自分自身で更に厚くすることによってチームやプロジェクト全体の仕事の流れがスムーズに行くこともあると思います。
肝腎なのは、どちらも他人の評価から始まるのではなく、どちらかと言うと自分自身が起点となったアクションである、ということかと思います。
そして、来春の試験を受けるのかどうかを決心するのも、結局は自分自身なのです。
■さらに
できたら、同じ職場、同じクラスの仲間を誘って一緒に受験してみたらどうでしょうか。
仲間と勉強の進み具合を話したり、お互いに問題を出し合ったり問題集で仕入れた知識をひけらかしあったりするのは意外と楽しいものです。たまに焦ったりもして。
試験中でも、仲間と同じ時間に試験をしている、試験区分が同じならば同じ問題に向かっていると思えれば、絶対にここぞというときの粘りが違うと思います。
そして、試験が終わったら、出題された問題についてきっとああだこうだ言い合うことができるでしょう。これがそのまま復習につながれば、たとえ不合格であっても、その知識も定着しやすいのではないでしょうか。
学生時代までは、勉強は自分自身のためのものでした。新しい知識や便利な知識はなるべく自分の中にしまっておきたいものでした。
でも、就職して10年近くがたち、また、インターネットがある今はそうではないのではないかと思いが変りました。
新しい知識も、便利な知識も、本当に欲しがればインターネットで調べればそのほとんどが解決します。自分だけの知識だと言って自分の周りにガードを張っても、キーワードさえあればみんな見つけてきてしまいます。
業務でも、自分しか知らない知識がないとできない仕事は、ずっと自分に押しつけられてしまいます。みんなでチームのレベルを上げ、自分のできる仕事やみんなができる仕事の量と質を上げていこうと思わなければ、自分ができることに発展性が望めなくなります。
また、自分はセキュリティやネットワークが好きですが、自分しか知らない事柄では周りの人間と話もできません。新しい知識や新しい技術について話をしたくても、意見を聞きたくても、同じ話ができる人間がいない。これはかなり寂しいものです。
ぜひ仲間と一緒に勉強して、みんなで合格を目指し、自分たちの「できること」を増やして、活躍の場を広げていってみてください。
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